空き家増加の問題点

空き家の増加がもたらす問題点について

空き家の増加がもたらす問題点について解説します。
国土交通省住宅局の発表によると、日本の住宅総数と総世帯数は2018年まで増加を続け、空き家数と空き家率も上昇傾向にあります1。空き家の増加は、社会の様々な側面で深刻な問題を引き起こす可能性があります。空き家増加による主な問題点は以下の通りです。

1、地域の安全・衛生環境の悪化

  • 治安の悪化: 管理が行き届かない空き家は、不審者の侵入を容易にする要因となります。これにより、不審火の発生リスクが高まり、犯罪の取引場所として利用される可能性も指摘され、地域の安全を脅かします。
  • 衛生環境の悪化: ゴミの不法投棄が増加しやすく、ゴキブリやネズミなどの害虫が発生しやすい環境を作り出し、近隣地域の衛生状態を悪化させます。
  • 家屋の劣化と被害の拡大: 空き家でシロアリが発生した場合、その空き家自体の耐久性が損なわれるだけでなく、シロアリが周辺の住宅に移動し、甚大な被害をもたらす恐れがあります。

2、地域経済への悪影響

  • 不動産価値の低下: 管理されず、老朽化が著しい空き家が増えることで、地域の不動産価値が低下する要因となります。特に、廃墟のような状態の空き家が周辺にある場合、その地域の魅力が低下し、新たな住民の流入を妨げるマイナス要因となります。
  • 人口流出と悪循環: 空き家が増えることで、近隣住民が不安を感じ、他の地域へ転出してしまう可能性があります。この人口流出がさらに空き家を増加させるという悪循環に陥ることも考えられます。
  • 地方自治体の財政悪化: 人口の減少は、地方自治体にとって税収の減少という形で経済的な悪影響をもたらします。

3、所有者への負担

  • 固定資産税の支払い義務: 空き家を所有している場合、その固定資産税を納め続ける必要があります。
  • 特定空き家認定による税負担の増加: 管理が不適切な空き家が「特定空き家」に認定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が大幅に増額されることがあります。
  • 維持管理コストの発生: 空き家を適切に管理するためには、セキュリティ対策や定期的なメンテナンスが必要となり、これらのコストが所有者の経済的な負担となります。

4、行政への影響

  • 景観の悪化と地域ブランドの低下: 管理されない空き家の増加は、地域の景観を著しく損ね、地域全体の資産価値を低下させる要因となります。
  • 人口流出と税収減少: 不動産の流通が停滞することで、新たな住民の流入が見込めず、税収が減少するという悪影響が考えられます。
  • 治安対策コストの増加: 空き家が治安悪化の原因となる場合、治安対策や地域コミュニティの強化に費用をかける必要が生じます。
  • 都市計画への支障: 空き家の存在は、地域の再開発や都市計画の推進を妨げる要因となる可能性もあります。
  • 住民からの不満: 空き家対策が適切に行われない場合、地域住民の不満が高まる可能性があります。

5、地域社会への影響

  • 害虫被害の拡大: 前述のように、空き家は害虫、特にシロアリの発生源となりやすく、周辺の住宅が被害を受ける可能性があります。
  • 倒壊リスクと安全性への懸念: 維持管理が行き届かず老朽化した空き家は、災害や地震の際に倒壊する危険性があり、近隣住民や通行人に怪我を負わせるリスクがあります。

このように、空き家の放置は、所有者個人の問題にとどまらず、地域の安全、衛生、経済、行政運営、そして地域社会全体に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。

空き家対策

まとめ

日本の空き家は増加傾向にあり、これは深刻な問題を引き起こしています。
主な問題は以下の通りです。

  • 安全・衛生の悪化: 治安低下、不審火、ゴミ投棄、害虫発生、家屋の劣化やシロアリ被害の拡大。
  • 地域経済への打撃: 不動産価値の低下、人口流出、自治体税収の減少。
  • 所有者の負担増: 固定資産税や維持管理コスト、特定空き家認定による税負担増。
  • 行政・地域社会への影響: 景観悪化、都市計画の支障、倒壊リスク、住民の不安。

これらの問題は、所有者だけでなく地域全体の安全や経済、暮らしに悪影響を及ぼします。